際限なく覚えられる時期とそれができない時期

子育てコラム

子供たちが言葉を覚えるとき、主語はどれで、それに対する述語がどれ、修飾語はどれに掛かっていき、補語はどう働いているなどと系統だてるわけではありません。そんなことを説明したら、かえって意識してしまってだめです。
そうした文法に類することは説明しなくても、子供の頭のなかではちゃんと交通整理されて覚えられていきます。ところがこの能力がいつまでも続くかというとそうではありません。
ある年齢になるとー不思議なことに、そして残念なことに、それは学校に上がる年齢からですがー、子どもはもはや右脳で直感的に覚えるのではなく、左脳で論理的に考えだすのです。わたしたちはこれを「臨界期」もしくは「臨界時期」と呼んでいます。
この時期になると、外国語は幼児期に母国語でやったようにそのまま直接覚えるのではなく、いったん自分の知っている言葉に置き換えて覚えていきます。だから、覚えるのに七転八倒し、時間がかかるのです。
「子供の脳には臨界時期がある」という発見は画期的なものです。このことに気付かなかった今まではただの遊ばせればよいと、おもちゃを与えて自由にさせていただけでした。そしてじつは子どもの脳が柔らかくて一番伸びる時期を無為に過ごさせていたのです。
子供に対する罪といっても、これほど大きな罪はありません。学校に上がってから「勉強しなさい!」と叱り、親も子どももともに苦労するのでしたら、なぜ、子供が知的にもすくすく育つ時代に適切な介護をしてやらないのでしょうか。親がやることは、後でも述べますが、お勉強が”お遊び”と同じように楽しいものだと思ってもらえるような環境づくりと、「よくできたわね、偉いわ」という励ましなのです。臨界時期という観点からも、「言葉を使い始める前」が一番大切だといえましょう。
音楽は昔から三歳か四歳ごろから教えた方がいいと言われてきました。
それは絶対音感とも関係があります。
絶対音感を習得する能力は、五歳時の一年間の平均習得能力を1とすれば、四歳児は二倍、三歳児は三倍であって、年齢が下になるほど習得の能力が高いのです。
音楽が上達するかどうかは、絶対音感の形成いかんと深くかかわっています。

 

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